この本を読む事によって得られるのは、大きく2点。不動産購入にあたり知っておいたほうが良い法律がピックアップされている事、物件を選ぶ際の判断軸が身につくことだと思います。中立な立場で不動産を語り、最後は個人に判断を投げかける選択肢を与える内容の為、購入を検討している人や実務をしている方者も勉強になります。今回は下記4構成からなっています。
第1章 2020以降、不動産のあり方が激変する
第2章 これから不動産を購入して本当にいいのか?
第3章 「不動産価値」3極化の傾向とエリア別事例
第4章 住まいで人生を棒に振らないために
第1章、第2章では不動産に関する法の改正点や人口の流れの観点から不動産の予測、第3章では地方自治体の取組、第4章では実際に購入する時の注意点について紹介をしています。
また、書かれた内容をそのまま受け入れるのではなくこの本で読んだ軸に個々人が購入の判断をしていく事が肝心で、例えば第3章では各自治体の取り組みが紹介されています。人口減が止まったり独自の人気を保たれていることが価格の落ちにくい地域とした紹介がありますが、紹介されている千歳烏山や大山が人気があるのだと思うのではなく、人口の減少、高齢化社会を考えるうえで、『住環境の良さ』『ブランド価値』『立地』があるかを考えながら物件選びをする事が大切だと思います。
また、第2章の「都市再生特別措置法の改正」が衝撃的でした。
各自治体が自分たちの判断で管轄する地域を活かす土地と、捨てる土地を選べるようにして税金の集中投入が出来る様にしたという内容です。
この立地適正化計画を読んで、調べたところ東京では八王子市、日野市、福生市、府中市が、千葉県では柏市、流山市、松戸市、神奈川では相模原市、藤沢市、大和市、横須賀市と横浜周辺の地域も取り組んでいます。
(参照 国土交通省 立地適正化計画の作成状況 http://www.mlit.go.jp/common/001208821.pdf)
この地域に家を買おうとしている人は事前調査が必須です。将来的に税金の投入がないとごみの処理や下水道の整備など今生活して当たり前に享受しているインフラが使えなくなるリスクがあるというのは考えるべきところです。
長嶋さんの本を読むと、改めて不動産は勢いで買うものではなく法律や経済、人口の流動性や地方自治体の取り組み等を考慮して最後に自分で責任をもって選ぶという事を認識します。
不動産は知識量が必要なため情報格差で商売が成り立っているところも多いため、個人が知識をつけていき良い物件選びをしていきたいです。