大人になっても必要性を感じながら中々身につかない金融の知識。社会人約10年目の自分には、今だからわかることもあるなと思いながら、高校から学んでおきたかったなと思うことも多々あった。
感想
この本では円高の動きの意味や、企業の財務の大枠、実質的なお金の変化とは何か。金融商品の比較を見ることが出来る。
また、金融系の複数の本で毎月分配型ファンドは、無知な顧客に損をさせる商品と書かれているので、勧めてくる金融業者には気をつけた方が良いだろう。
社会的な地位の高い傲慢な客ほど簡単に騙せることを知っている。いわゆる成金の様な人は、自分がお金を持っていることに自分の価値があると思っている人が確かに一定数いる。その様な人へは、煽てて騙す事に時間を掛けても売り上げに繋がると思い営業する人が多いのは確かだと思う。
不動産関連の仕事をしているので他の金融商品と不動産を比べると、とてつもなくインサイダーだが法に問われない世界に成り立っているのが分かる。
中々テクノロジーによる革新が本質的な部分で変わらず、あくまでも不動産業者の業務支援側のテクノロジーばかりが変わっていくのもある意味自然な流れかもしれない。
顧客に有利なテクノロジーを喜んで取り入れる業者のメリットが、情報格差が大きすぎる業界なので少なすぎるからだ。
しかし、不動産はインデックスの様にオープン化出来ないものであり、株と違って同じものが厳密的には無いものなので、自分がこの対価を払ってでも手に入れたいと思う不動産の価値は上がり続けると思う。
以下要約
・株価は 、将来の一株あたりの利益の総額を現在価値に換算したものである。
・会社の経営者 ( C E O )は株主の代理人で 、株主から預かった資本で事業を運営し 、できるだけ多くの利益をあげるのが仕事だ
・年度末の純利益が 1 0億円で 、発行株式数が 1 0 0万株だと 、 1株あたりの純利益は 1 0 0 0円になる ( 1 0億円 1 0 0万株 ) 。これを E P S ( E a r n i n g s P e r S h a r e )
・収益率を上げるもっとも確実な方法は 、不採算部門から撤退し 、収益性の高い部門にすべての資本 (リソ ース )を投入することだ
・「株式市場全体に投資する 」というと大それたことのようだが 、市場平均 (インデックス )に連動したファンドを買えばいいだけだ 。今はさまざまなインデックスファンドが 、近所の証券会社で 1万円から買える 。
・国家は誰から借金しているのだろうか国家は国債という証書を発行して資金調達する 。日本の場合 、国債の大半は金融機関が保有しているが 、その原資は顧客の預金や積立てた保険料だから 、国民が金融機関を通じて国にお金を貸していることになる
・資本主義 とは 、複利とレバレッジによってバランスシ ートを拡張していく運動のこと
・G D Pの伸び率が 2 %のときに 、インフレ率も金利も 2 %なら実質金利は 0 %で 、銀行に預けたお金の価値は変わらない 。
・毎月分配型ファンドを 「金融リテラシ ーのない投資家からぼったくるための商品 」と批判している
・不動産業界は認めたくないだろうが 、人口動態を考えれば今後 、日本の不動産価格が値上がりする理由はない 。都心の一等地などは別としても 、地方や郊外では空室率の上昇にともなって格安物件がどんどん増えてくるのだから 、買い急ぐ必要などどこにもないのだ
・原油や金などのグロ ーバル商品では 、価格はニュ ーヨ ークやロンドンの市場で決まるから 、日本国内だけで自由に相場を動かすこと
・投資の世界には 、商品先物よりずっと非効率で巨大なインサイダ ーマ ーケットがある 。それが不動産市場だ 。
・株式は市場で取引されるが 、不動産は相対取引だ
・「市場が閉鎖的であればあるほど素人はぼったくられる 」という法則からすれば 、 (マイホ ームを含む )不動産取引は商品先物よりずっと危険なはずだ 。
・家賃保証とは 「空室でも賃料を払う 」という契約で 、金額を保証しているわけではないということだ 。不動産業者はいつでも家賃の減額請求が可能なのだ 。
・デフレ下の最適な資産運用戦略は 、国が 1 0 0 0万円までの元本と利息を保証してくれる普通預金で 「実質的な高金利預金 」をすることなのだ 。
・財政危機が顕在化すれば必ず円安になるわけではないことだ 。金利が上昇すると 、短期的には為替は上昇することが知られている 。財政破綻の初期は 、急激な円高が日本を襲うかもしれない 。
・金融機関の業績は年寄りからどれだけ効率的にカネを巻き上げるかにかかっている
・リテラシ ーの低いひとはこうした努力をせず 、すべてを自分中心に考える 。 「特別な私は特別な幸運に恵まれて当たり前 」と思っているから 、荒唐無稽な詐欺商法に引っかかるのだ 。
・ファイナンス理論を学べば株や為替の動向がわかると思っているひとも多いが 、これも大きな誤解だ
・難しいのは 「株価の変動に理由はない 」という事実を受け入れることだ 。